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YouNet 「NIE」シリーズ (最終回)・・・(221218掲載)

~閑話休題~
中日新聞NIE事務局
服 部  賢
筆者は新聞記者上がりです。3年前からNIE(Newspaper in Education=教育に新聞を)の担当になり、学校訪問が始まりました。静岡県の中学1年生に記事の書き方を教えに行った時のことです。記事の構成で重要な「5W1H」について黒板を使って話していました。記事には「When」「Where」「Who」「What」「Why」と「How」、すなわち「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「なぜ」「どのように」を織り込むと、相手に伝わりやすいことを説明していました。黒板に英語の疑問詞「5W1H」を書いたところ、担任の先生が駆け寄り、英語の横にかっこで日本語を書き添えたのです。中1の秋なら、すでに習っていると思っていた疑問詞。だが、先生いわく「習うのはこれからなんです」。失敗!教科書の進ちょくは学校により、地域により、また府県により違ってきます。話に行く学校ごとに授業の進み具合は違っているんです。まだ習っていないことを習っているはずだと思いこみ授業を進めると、子どもたちはついてこられません。小学校の授業にも出ますが、何年生ならどの漢字を習っているかは、私どもには分かりません。知らない漢字で説明しても、子どもはぽかーん。授業への関心もなくします。子どもたちは興味をなくすと、ざわつき、勝手なことをします。先生が注意してくれますが、これは講師である自分が原因です。筆者も“学習”し、子どもを引きつける手を考えます。先日、名古屋市内の小学4年生が社会見学の報告を新聞形式でまとめる授業で、取材の仕方、記事の書き方を指導してきました。小学校では1時限が45分で、これを1コマと呼んでいます。小学校の中低学年は45分以上、授業が続くと、飽きてしまいます。そこで、よくクイズを出して、子どもたちの頭をほぐすようにしています。「中日新聞」の題字を見てください。漢字の背景はただの柄ではありません。よく見ると、絵が隠されています。稲穂のほかに5つあります。(答えは後で)クイズとなると、子どもたちの目が輝きます。すぐに絵を見つけて盛んに手を挙げます。授業の雰囲気も明るく楽しくなります。そして「質問タイム」をたくさん設けるようにしています。最初、はにかみ気味だった子どもたちも、慣れてくると、どんどん疑問点を投げかけます。例えば「新聞記者はいつ休みますか」「1日に何本の記事を書きますか」などオーソドックスな質問から「1ページの広告はいくらですか」「印刷するインクは1日にどれぐらい使いますか」「新聞の端はなぜギザギザなのですか」など、一瞬、答えに困るケースもあります。そして最後に「おじさんの話を聴いて、将来、新聞記者になりたいと思った人、手を挙げて」といと、1クラスに2,3人の子が挙手してくれます。話に来て良かったな、と思う瞬間です。
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NIEの連載も今回が最終回となりました。尾北地区で中日新聞が進めている「新聞切り抜き作品」づくり教室が開かれるのを契機に始まったこのシリーズ。余り知られていないNIEを少しでも理解してもらうことができたでしょうか? また機会がありましたら、この欄でお会いしたいものです。ご愛読ありがとうございました。(クイズの答えは、名古屋城、JRセントラルタワーズ、ナゴヤドーム、夫婦岩、雷鳥)


服部賢さんプロフィル
昭和46年中日新聞社入社。中部地方の支局勤務を経て、平成13年福井支社報道部長、16年編集局庶務部長、19~22年2月までNIE事務局長を務める。
 
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