23年度から小学校の教科書が変わることは、このコーナーでもお知らせしました。「新聞」に絡む単元が大幅に増えます。では、どんな教科書になるのでしょう。7月に各地の教育施設で開かれた新教科書の閲覧会で、すべての教科書をチェックしてきました。教科書は、教育出版、学校図書、光村図書、東京書籍、三省堂、日本文教出版の6社が発行する全教科。理科、算数、せいかつ、図工でも「新聞」の文言が出てきますが、調べの手段としての「新聞」でしかないので省略します。「新聞学習」につながる単元が多出するのは国語と社会の教科書。2教科に絞って報告しましょう。まず、国語。ずばり「新聞を作ろう」という単元が教育出版、光村図書、東京書籍の4年に出てきます。校内の行事を新聞で紹介する形式で、グループで分担して取材し、編集会議を通じてレイアウトを考えさせます。イベントの内容を記事にして伝えることで情報伝達について学ぶのです。似たような単元で「読書すいせん会を開こう」(教育出版5年)がありました。気に入った本の作者を新聞形式で紹介するものです。「読み比べ」を扱っているのは東京書籍。5年で記事の読み比べ、6年では新聞投書の読み比べを扱い、1つの話題でもいろいろな書き方、主張の仕方がある事を学びます。ずばり「新聞記者」の単元があるのは教育出版の5年。新聞記者がどんな仕事をしているかを知るのです。次に社会に移ります。社会では調べ学習の成果を新聞形式でまとめるケースが多くあります。東京書籍は5年の「工業生産新聞」と6年の「ブラジル新聞」、教育出版4年では「安全なまちづくり新聞」、光村図書6年は遣唐使について調べた事を「歴史新聞」にまとめるのです。国語の「新聞を作ろう」と似ていますね。現実に新聞社が登場する単元もあります。光村図書5年では「新潟日報」が中越沖地震をどう報道したか、それが地域の人にどう役立ったかを学びます。東京書籍5年では、「新聞社の働き」の単元で中国新聞社(広島県)の平和報道への取り組みを紹介しています。社会で多用されているのは、新聞コピーそのもの。現憲法が制定された当時(1947年)の新憲法祝賀の記事(光村図書5年)や、藤前干潟(名古屋市)の埋め立て問題に反対する住民運動の記事(東京書籍4年)など過去の記事が扱われています。新聞の「記録性」を生かした活用です。
* * *
教科書の採択は9月1日に決まりました。尾北地区の小学校で来年度から使う教科書は決定しているはずです。ただ、どこの出版社の教科書になっても、「新聞活用」単元はあります。子どもたちは日ごろから新聞に親しんでおく必要がありそうです。保護者の方々も、子どもたちと一緒に新聞を読みながらコミュニケーションを深めておいて下さい。勉強に役立ちますよ。 |