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YouNet 「NIE」シリーズ (4)・・・(220515掲載)

~新聞を授業に生かすには~
中日新聞NIE事務局
服 部  賢
授業で新聞を教材にするNIE(newspaper in Education)で、どのような教育効果が得られるか?実際にNIEに取り組んでいる先生方の実践例を見ながら紹介しましょう。小学校。新聞を使って授業をする際、先生が困るのは、漢字です。新聞は中学卒業程度の知識があれば読みこなせるレベルで製作しています。逆に言うと、小学生では習っていない漢字が続出するということです。これでは授業にならない?――そんなことはありません。新聞には写真や漫画、イラストもあって、これを使えば大丈夫。小学校低学年で、こんな実践例があります。4こま漫画。中日新聞の「ちびまる子ちゃん」の吹き出し(せりふ)の部分を白く塗りつぶし、4こまの絵だけを子どもたちに見せ、せりふを考えさせるのです。絵から連想してストーリーを考えることで、思考力が培われます。新聞の写真だけを切り抜き、カルタにする方法もあります。写真の絵柄だけ見て短い文章を考えるのです。どちらも遊び心を加味しての手法。子どもの発想力は想像以上ですよ。
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小学校高学年になると、多彩な授業が組めます。例えば漢字探し。新聞記事の中から、知っている漢字を探し出すのです。分かる文章を見つけるやり方もいいでしょう。簡単な記事なら、辞書を使って分からない漢字を調べ、記事を読む、そして何が書いてあるか発表する、という方法もあります。地名や国名も多く出てきますので、地図帳でその場所を調べるのも勉強になります。中学生なら、ほぼ新聞は読めるはずです。朝、30分早く起き、新聞を丹念に読んで「今日のいち押しニュース」を朝の会で発表させる先生は結構みえます。「こんな記事が目に留まりました」「クラスの友達に知ってもらいたいニュース」「中学生にも関係のある記事です」。記事の内容を理解し、5分スピーチにまとめて伝えることは、読解力と表現力の向上につながります。
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高校になると多彩な展開が可能になります。高校生は新聞記事が理解できます。新聞記事にある社会問題をテーマにして、例えばディベート(賛否に分かれて意見を戦わせる討論方法)や班ごとに討議し班の合意意見をまとめて発表、他の班との違いをさらに討論する――ということもできます。参院選の記事があれば、日本の選挙制度、ひいては国家の仕組みを考えるようにもなれます。社会に関心を持つとともに考え、まとめることで、大学入試の小論文対策にもなると取り込む進学校は結構あります。校種、学年により多彩な勉強方法があり、紹介したのはほんの一例です。中日新聞社が製作した「新聞学習カリキュラム」(小学校編と中学校編)には、先生が授業をしやすいように、新聞をどう教材化するかを詳しく書いています。参考にしていただきたいと思います。

 
 
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