シリーズ  知多四国八十八ヵ所霊場 戻る
〜28.07.29掲載〜
●日本三大新四国霊場
 〈シリーズ第10回〉岡田、佐布里の六ヵ寺



知多四国霊場は小豆島(香川県)、篠栗(福岡県)とともに「日本三大新四国霊場」と並び称され、200年以上にわたって人々から親しまれ、支持されてきました。札所は一番から八十八番まであり、遍路しやすいように半島の輪郭をなぞるように制定されています。札所は八十八カ寺のほか、開山三カ寺、番外七カ寺を合わせて九十八ヵ寺。宗派の違いを超えて、弘法大師(空海)への信仰という縁で結び合っています。

シリーズ10回目の今回は、知多市の岡田、佐布里地区にある第七十二番から七十七番の六カ寺を紹介。梅の里としても知られ、緩やかなカーブが続く坂道、知多木綿の生産の中心として栄えるなど、歴史が息づく街並みは、日本の原風景を感じる地域です。
第七十二番 白華山 慈雲寺(じうんじ)
知多市岡田太郎坊108 
【宗派】臨済宗妙心寺派 【本尊】千手千眼観世音菩薩
観応元(1350)年、大野城主であり足利尊氏一門の一色修理大夫源範光が開基となり、夢窓国師を開山として創建された。範光の念持仏の本尊・千手千眼観世音菩薩は恵心僧都の作。室町時代の代表的建築物と言われる観音堂や寺宝に一条兼良の一色禅門悼文などがある。山を背にした門景は霊場屈指の美しさと言われ、妙心寺派十刹の一つに数えられる。
第七十三番 雨宝山 正法院(しょうぼういん)
知多市佐布里地蔵脇30
【宗派】真言宗豊山派 【本尊】地蔵菩薩
元暦元(1184)年後鳥羽天皇の勅願所として創建された。かつては雨宝山如意寺正法院といい、多くの寺領を有し、壮大な伽藍が立ち並ぶ一山九坊の本坊であったが戦乱兵火により、一山九坊とともに古書、宝物なども焼失した。難を免れた本堂は今もその姿を残し、一山四坊の寺院となっており75番、76番札所の朱印は当寺で納印している。
第七十四番 雨宝山 密厳寺(みつごんじ)
知多市佐布里地蔵脇24 
【宗派】真言宗豊山派 【本尊】十一面観世音菩薩
本尊の十一面観世音菩薩は藤原時代の作といわれ、一木造りで高さは62a、知多市内で最古の仏像の一つである。境内には、菅原道真を祭る天神社と白山信仰の白山社もあり、いずれも300年近い歴史のある神社。天神社には、学業成就を願った絵馬が、数多く奉納されている。
第七十五番 雨宝山 誕生堂(たんじょうどう)
知多市佐布里地蔵脇30
【宗派】真言宗豊山派 【本尊】弘法大師
73番の正法院から40段の急な階段を登りきったところにあり、見下ろせば、正法院の美しい境内が広がっている。誕生堂の名は、本四国霊場第75番札所の「善通寺」が弘法大師の誕生の地であることに由来している。 
第七十六番 雨宝山 如意寺(にょいじ)
知多市佐布里地蔵脇13の1 
【宗派】真言宗豊山派 【本尊】地蔵菩薩
元暦元(1184)年、後鳥羽天皇の勅願寺として創建され、雨宝山一山九坊の本堂として広大な寺領を誇り隆盛を極めたと伝えられる。本尊の地蔵菩薩は「雨宝山」の山号が示す通り、「雨乞いの本尊」として数多くの霊験が伝えられ、雨を宝とする農民からあつい信仰を集めてきた。寺宝として、鰐口と約600巻の大般若波羅蜜多経が伝えられている。
第七十七番 雨宝山 浄蓮寺(じょうれんじ)
知多市佐布里地蔵脇36 
【宗派】真言宗豊山派 【本尊】不動明王
元暦元(1184)年後鳥羽天皇の勅願所として創建された雨宝山如意寺一山九坊の一坊。弘法大師が立てた杖から芽が出たという裏山の竹やぶから採った竹を砂で磨き、天日干しして祈とうし、「中風除の御箸」として参拝者に授けた。77番は、喜寿の77歳に通じることから、参拝者に親しまれている。