シリーズ  知多四国八十八ヵ所霊場 戻る

〜23.07.09掲載〜
●弘法大師(空海)ゆかりの寺
「知多四国八十八カ所霊場」を紹介するシリーズの第3回。霊場の札所は一番から八十八番までのお寺と、開山所3カ寺・番外7カ寺を合わせて98カ寺あります。全行程はおよそ194km。知多四国の札所巡りは知多半島の東側に沿って南に向かい、半島先端の師崎から日間賀島・篠島へ渡り、再び半島の西側を北に上って大府市で満願成就となります。今回紹介するのは第十五番洞雲院から第二十三番蓮花院までと、第五十四番海潮院、番外の海蔵寺、東光寺の合計12カ寺。知多四国霊場でまつる空海(774〜835)は平安時代の僧。空海ゆかりの寺々を巡るのが四国の八十八カ所霊場。知多(愛知県)、小豆島(香川県)、篠栗(福岡県)の三霊場を「日本三大新四国霊場」といい、いずれも空海ゆかりの地で、毎年多くのお遍路さんが訪れています。空海のおくり名は「弘法大師」、密教での名は「遍照金剛」。一般には「お大師さま」として宗派を超え、時代を超えて信仰を集めています。
第十五番 龍渓山 洞雲院(とううんいん)
知多郡阿久比町卯坂英比67  【宗派】曹洞宗 【本尊】如意輪観世音菩薩
阿久比町が一望できる丘陵地にある。創建は天暦2(948)年。開基は菅原道真の孫、雅規。その子孫、久松俊勝に徳川家康の母「於大の方」が再婚で嫁いできた。境内には、久松家と松平家の墓所がある。
第十六番 鳳凰山 平泉寺(へいせんじ)
知多郡阿久比町椋岡唐松29  【宗派】天台宗 【本尊】尾張不動尊 
天長7(830)年、淳和天皇の勅願により、慈覚大師円仁(天台宗の開祖、最澄の弟子)が創建したと伝えられる。1000年以上の歴史を誇る古刹。文治6(1190)年には源頼朝が野間の里にある父、義朝の墓参りの後、尾張不動尊に国家安泰などを祈願したという。
第十七番 樫木山 観音寺(かんのんじ)
知多郡阿久比町矢高三ノ山高15   【宗派】浄土宗 【本尊】十一面観世音菩薩
風光明媚な尼寺。小高い丘の上にある。本尊は江戸時代中期の元禄2(1689)年の作で、50年に1度しか開帳されない秘仏。前回は平成11年3月で、多くの参拝者が黒ずんだ木像で、高さ35cm、左手にハスの花を持った本尊を拝した。
第十八番 開運山 光照寺(こうしょうじ)

光照寺の観音堂
半田市乙川高良町120  【宗派】時宗 【本尊】阿弥陀如来
時宗は浄土教の一宗派で、踊り念仏で有名。観音堂の秘仏本尊十一面観世音菩薩は、亀崎沖で漁師の網に掛かり、引き上げられたという由来がある。清水次郎長が亀崎で旧敵と戦う前に心願をかけたという地蔵があり「次郎長地蔵」として信仰されている。
第十九番 前明山 光照院(こうしょういん)
半田市東本町2―16  【宗派】西山浄土宗 【本尊】阿弥陀如来
醸造で栄えた半田の古くからの町の中心部にある。境内には四方を見渡すように交通安全を祈願し「くるま六地蔵尊」が安置されている。明治40年建立の弘法堂では彫常作「龍虎」を見ることができ、大師堂横には「抱き大師さま」が安置されている。
第二十番 萬松山 龍台院(りゅうたいいん)
半田市前崎東町35  【宗派】曹洞宗 【本尊】十一面観世音菩薩
古木が林立した緑のトンネルをくぐって境内へ入ると、本堂の前庭「萬松庭」で鶴が踊っている。本四国第二十番札所鶴林寺とのゆかりからである。
 弘法さまは「手足弘法」と呼ばれ、堂の前には木製の手と足がある。
第二十一番 天龍山 常楽寺(じょうらくじ)
半田市東郷町2―41 【宗派】西山浄土宗 【本尊】阿弥陀如来
徳川家康ゆかりの寺。第八世住職、典空上人は家康の従兄弟。家康は、桶狭間の戦いや本能寺の変の折りなど、3度訪れたと伝えられている。その後も、尾張藩の歴代藩主が参詣している。知多における念仏発祥の寺で、知多四国屈指の広い境内(約6000坪)には、4つの塔頭がある。
第二十二番 御嶽山 大日寺(だいにちじ)
知多郡武豊町ヱケ屋敷69 【宗派】西山浄土宗 【本尊】大日如来 
古い街並みの中にある静かな寺。本尊の大日如来は室町期の作。別堂の十一面観世音菩薩は藤原仏の手法が認められる。毎年3月の第1日曜日が縁日で、年1回の大日如来御開帳が行われ、大勢の参拝者で賑わう。昭和の戦前までは「雨乞い寺」とも呼ばれていた。
第二十三番 意龍山 蓮花院(れんげいん)

蓮花院の本堂(右)と弘法堂
知多郡武豊町ヒジリ田27  【宗派】西山浄土宗 【本尊】阿弥陀如来
15世紀後半に旅の修行僧がこの地で、農耕の方法を伝えたという。村人たちは「聖上人」と呼び、この辺りを「ヒジリ田」と呼ぶようになった。昭和41年、不慮の火災により本堂、弘法堂、庫裏を焼失。同62年までに再建された。弘法堂は朱塗り、本堂は青塗りで目を引く。
第五十四番 亀嶺山 海潮院(かいちょういん)
半田市亀崎町1―130  【宗派】曹洞宗  【本尊】釈迦牟尼仏
知多と三河をつなぐ衣浦大橋のたもとに近い。五十四番札所と大師像は、もとは美浜町野間の龍松院にあった。明治維新の廃仏毀釈により廃院となったため、いったん野間の別の寺に移され、明治32年に海潮院へ仮安置された。2年後、正式に安置され、五十四番札所となった。
番  外 清涼山 海蔵寺(かいぞうじ)
半田市乙川若宮町25  【宗派】曹洞宗 【本尊】釈迦牟尼仏
黒松の巨木が本堂前で枝を伸ばしている。本堂には本尊のほか、文殊菩薩、普賢菩薩、薬師堂には薬師如来、千手観音、如意輪観音、弘法大師が祭られている。明治42年に「奥の院」として番外に加えられた。 毎年5月8日から2日間、1年の農業を占う祭礼「花のとう(撓)」が行われる。
番  外 亀宝山 東光寺(とうこうじ)
半田市亀崎月見町3―14  【宗派】西山浄土宗 【本尊】阿弥陀如来
明治33年、三河出身の実空誠感上人が当地で布教を始めたのが起源。弘法大師の誕生から入定までの62年間を1年ごとに1体の像を作って祭る年弘法があり、実空上人が奉安したという。三体大師堂には日にちを限って願をかける日限大師、福を招く衆生済度大師、厄除け大師を祭る。