YouNet A letter from Singapore (290120掲載)

〜シンガポールの教育事情〜
 齊慶 辰也さん
国際数学・理科教育調査(TIMSS)の結果が発表され、シンガポールは見事、小学4年生、中学2年生ともに両教科で世界最高になりました。この快挙は2003年に続き2回目。シンガポールのMOE(文部省)は、思考スキルの向上に注力したことや生徒のさまざまな学習ニーズに応えるプログラムを準備した成果だと発表しました。 確かにシンガポールの児童生徒たちは、よく勉強するようです。しなければならないのかもしれません。家庭教師や塾通いが当然ですし、マクドナルドやスターバックスなどでは中高生や大学生が教科書とPCなどを使って、いつでもどこでも勉強している姿を見ます。シンガポール教育制度の大きな特徴は、小学校卒業時にPSLEという試験があり、ここで普通の中学校へ進んで大学進学の道を歩むのか、それとも、技術系の学校へ行くのかがおおむね決まってしまうシステムです。小学校卒業後に入学する中学校は、希望は出せますが、PSLEの得点でMOEが行く学校を通知してきます。PSLEの得点による学校ランキングは、インターネットで見ることができます。

日本人学校とも交流のある私学男子校のラッフルズ・インスティチューション 
12月10日前後に、進学する中学校名の連絡があり、1月3日からの新学期に向け急いで入学準備。中学卒業時にもOレベルというテストがあり、大学に入るにはAレベルのテストのスコアが必要で、そういった意味では厳しい受験の連続なのです。それぞれの学校にも厳しい競争があります。小学校はPSLEの点数でMOEから評価され、中学校はPSLEでランク付けされ、次のOレベルのテストの成績により、ランクが変動。先生は国が採用し配置することが基本ですが、学校に大きな裁量権もあり、独自の取り組みのため先生を増やしたり特色ある教育活動に取り組んだりします。こうした学校独自の取り組みに、MOEや地域団体が積極的に経済的支援。そのような支援を含め、校長決裁する金額が年間1億円を超えるという話も聞きます。経済的な余裕がTIMSSなどで高い成果をあげる教育施策に繋がるのもうなずける気がします。国家予算の25%が教育費。先生の給与が高く、学校施設が充実し、教育が活性化することも納得します。国土が非常に狭く資源もないシンガポール。人を育てる教育に力を入れ国の将来を託しています。政府のきっぱりとした姿勢と適切な政策で確実な成果を出しているシンガポールは素晴らしい国だと思います。


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