YouNet A letter from Singapore (280115掲載)

〜文化や教育に力を入れるシンガポール〜
 齊慶 辰也さん

 マリーナベイリゾートとマーライオン
シンガポールは経済や観光といった面が大いに注目されます。国民一人当たりのGDPでも、国際競争力指数でも、ビジネス環境指数でも日本を上回っています。シンガポールの国土は、東京23区程度の広さですが、そこに年間1500万人もの観光客が集まり、どこへ行っても多くの外国人観光客がいるという状況となっています。多数の観光用商用施設があり、国が主導して造った二つの総合リゾート(セントーサリゾート,マリーナベイリゾート)が隆盛を極めます。特に日本でも話題になったカジノは、リゾート売上高の8割を占めるそうです。ちなみに、ギャンブル依存症を防ぐために、シンガポール国民からは、カジノ入場料を100シンガポールドル(約8700円)徴収しますが、外国人観光客は無料で楽しめるようにしています。そんな、経済と観光の印象が強いシンガポールですが、実際は国家予算の20%以上が教育費に費やされ、国防費に次ぐ予算割合になっています。学校や教育施設などは常に更新され、人材にも豊富に税金をつぎ込んでいます。最近は文化や芸術にも力を入れています。2015年8月には、シンガポール大学内に自然史博物館がオープンしました。恐竜の全身骨格の実物大標本が呼び物で、多くの小中学生が団体で見学に訪れています。

 国立美術館
また、11月にはシンガポール国立美術館がオープンし、約2週間観光客にも無料公開されました。この美術館は、旧市庁舎と旧最高裁判所を改装したもので、建物自体にも歴史的価値があり、広さも世界最大級というものです。シンガポール国民は、こうした文化施設を無料で利用でき、国民教育と生涯学習が推進されています。国民以外には20シンガポールドル程度の入場料が課せられ、やや高いとの印象があります。国内には美術館や博物館が公立・私立を含め50以上あります。各民族の歴史を紹介するヘリテージセンターや国防を紹介するアーミーミュージアムなど、国が大切に考えている内容の博物館が多いのも特徴です。観光客があまり行かない文化施設にも魅力が多いシンガポールです。


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