YouNet 尾北医師会シリーズ(6)・・・(191024掲載)

「インフルエンザの治療と予防」
尾北医師会 荻野 弘美
 
インフルエンザは、毎年冬になると流行り、赤ちゃんからお年寄りまで多くの人が巻き込まれる病気です。患者さんの咳やくしゃみでばら撒かれたインフルエンザウイルが、他の人の鼻やのどの粘膜について感染します。感染力は強く潜伏期間は1〜2日と短いため、短期間で周りに広がります。インフルエンザにかかると始めのうちは発熱、だるい、食欲がないなどの全身症状が目立ち、のどの痛み、頭痛、関接や筋肉の痛みといった症状も強く出ます。胃腸症状がみられることもあります。鼻水や咳は、2〜3日後に目立ってくることが多いです。インフルエンザで問題なのは、合併症を引き起こしやすいことです。中耳炎、気管支炎、肺炎、熱性けいれん、脳症などが起こり、乳幼児は脳症で、お年寄りは肺炎などで命を落とすこともあります。大多数の人は、安静にして水分補給に心がけていれば、約1週間で自然によくなります。
インフルエンザの治療
治療としては、熱、咳・鼻水、胃腸症状を和らげる薬が主に使われます。抗生物質は、ウイルスには効きませんので、合併症の疑いがなければ飲む必要はありません。抗インフルエンザ薬は、最初のつらい症状を早目に良くしてくれる効果があります。最近、この薬と異常行動との関連が取り沙汰されていますがはっきりした答は出されていません。必ずしも必要のない薬ですので、使用にあたっては主治医とよく相談しましょう。また、小児のインフルエンザでは、使ってはいけない種類の解熱剤があります。自己判断ではなく、医師や薬剤師に確認してから使うようにしましょう。インフルエンザは、症状が出てから3〜7日は他の人にうつす危険があります。また、熱が下がっても体力はすぐには回復しません。従って、解熱後も2〜3日は安静にし、他の人にうつさないためのエチケットとしてマスクをするようにしましょう。
インフルエンザの予防
インフルエンザは何と言っても予防が大切です。予防の基本はワクチンです。小児、お年寄り、基礎疾患のある方、受験生は、接種した方が良いと思います。また、抵抗力をつけておくために、日ごろから規則正しい生活をして、必要以上に人ごみに出るのは避けましょう。インフルエンザウイルスは、手指にもくっついています。外から帰ってきたらすぐに手洗いをしましょう。ウイルスは乾燥した環境を好むため、加湿器を使ったり、洗濯物を室内にぶら下げたりして適度な湿度を保つようにします。粘膜が乾燥するとウイルスが感染しやすくなりますので、マスクやうがいをして鼻やのどの粘膜を乾燥から防ぎましょう。時々、口だけマスクで隠して鼻は外に出してしまっている人を見かけますが、これでは効果が上がりません。鼻もきちんとカバーしてください。毎年少しずつ姿を変えては、人間のスキを狙って暴れるインフルエンザウイルスですが、敵のことをよく知ってうまくかわし、上手に冬を乗り切りましょう。

社団法人「尾北医師会」(大口町下小口6丁目)
犬山、江南、大口、扶桑各市町の地域医療を担う医師会員(現在249人)で構成。尾北看護専門学校、尾張北部地域産業保健センター、地域ケア協力センターを設置、人材育成や保健・医療・福祉サービスの地域ケアシステム化を図る。http://www.bihoku.aichi.med.or.jp/

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