YouNet 尾北医師会シリーズ(3)・・・(190627掲載)

「夏にかかりやすい“はやり眼”」
尾北医師会 川 部 幹 子
 
●はやり眼ってなに?
はやり眼は感染性の強いウイルスによって起こる結膜炎です。ウイルスは細菌よりも小さい目に見えない微生物で、自分で生きることができません。人の細胞に住み着いて私たちに病気を引き起こします。ウイルスに対して私たちの抵抗力が強いときは、ウイルスは活動することができないので病気になりませんが、いったんウイルスが人の細胞に住み着き、どんどん増えた場合には、眼や全身に症状が出てきます。
●はやり眼の種類
最も代表的なものとして「流行性角結膜炎」があります(写真)。他に「咽頭結膜熱(プール熱)」や「急性出血性結膜炎」などがあり、感染した人の手や涙などから接触感染や飛沫感染します。
○流行性角結膜炎:アデノウイルス8、4、37、19型感染
○咽頭結膜熱(プール熱):アデノウイルス3、4型感染
○急性出血性結膜熱:エンテロウイルス70型感染
その中で最も代表的なアデノウイルスによる結膜炎は8月中旬をピークとして多発し、年間100万人もの人が感染しています。症状としては眼がゴロゴロし、充血(眼が赤くなる)が強く、眼脂(目やに)や涙がたくさん出ることなどが挙げられます。また眼脂や涙で起床時には眼がくっついて開けにくい状態になります。ウイルスが感染してから症状が出るまでの期間を潜伏期間と言いますが、それはウイルスの種類によって違います。また、ウイルスの種類よっては、眼だけに症状が現れる場合と眼だけでなく軽い風邪症状、微熱を含めて発熱、咽頭痛、全身倦怠感など、全身に症状が現れる場合があります。はやり眼の原因となるウイルスの中で、アデノウイルスは最も伝染力があります。片眼から両眼への感染はもちろんのこと、家族内の感染、職場内の感染、プールでの感染などを防ぐよう、十分注意しなければなりません。
●はやり眼の治療
この病気に有効な点眼薬はありません。ウイルスに対する抵抗力をつけるために、十分に休養をとって体力を落とさないことが必要です。また、他の感染(特に細菌感染)を起こさないために抗菌点眼薬や、強い炎症を抑えるためにステロイド点眼薬などを補助的に使用します。結膜炎の症状が治まってきた頃に、くろめ(角膜)の表面に小さな点状の濁りが出てくることがまれにあります。治ったかなと思っても、医師がいいと言うまでは点眼薬の治療を続けるようにしましょう。ほとんどの場合、合併症もなく治りますので患者さん自身は他の人にうつさないよう、十分に気を付けましょう。そこで、感染予防対策7箇条をお知らせします。

感染予防対策7箇条!
(1) 眼を触った後の手は石鹸と流水でよく洗い、アルコール消毒。十分手を乾かした後は眼を触らないように。
(2) 目やにや涙にはウイルスがたくさん。患者さん専用のテッシュペーパーやペーパータオルを用意し、使用後はビニール袋に入れて捨てる。
(3) 病気の人の目薬を他の人は使用しない。
(4) 症状が治まるまで、お風呂は一番最後に!
(5) 職場や学校でうつさないためにお休みを!お休み期間はウイルスの種類によって違います。
(6) はやり眼が疑われる人は他の人と接触する場所やプールには絶対に行ってはいけません。
(7) プールから出たら予防点眼薬をする必要は全くありません。それよりもプールサイドで洗眼とうがいをしっかりと!


社団法人「尾北医師会」(大口町下小口6丁目)
犬山、江南、大口、扶桑各市町の地域医療を担う医師会員(現在249人)で構成。尾北看護専門学校、尾張北部地域産業保健センター、地域ケア協力センターを設置、人材育成や保健・医療・福祉サービスの地域ケアシステム化を図る。http://www.bihoku.aichi.med.or.jp/index.html

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