YouNet 尾北医師会シリーズ(1)・・・(190425掲載)

「医者の上手なかかり方」
尾北医師会 副会長
           藤 原 誠 治
 
尾北医師会シリーズの始まりに寄せて、健康づくりやインフォームドコンセント、セカンドオピニオンといったことについて、思いついたことを書いてみます。国民の健康づくりや疾病予防を積極的に推進するために健康増進法が施行されました。この21世紀における国民健康づくり運動が「健康日本21」で、食生活や運動、休養、飲酒、喫煙など70の生活習慣について10年後の目標値を掲げています。これらの目標は全国レベルのものですが、地方公共団体が各地域の実情に応じ、具体的に策定。尾北医師会でも「健康日本21」計画に参加、協力をしています。読者の皆さんにはぜひ、定期的な健康診査をお受けになることをお勧めします。

●男性の2人に1人が予備軍?
「健診」と「検診」は、読み方は同じ「けんしん」でも意味は異なります。「健診」は健康診断あるいは、健康診査の略です。健康であるかどうか、何か疾病があるかどうかをチェックする方法を言います。学校健診、会社健診、基本健診などが当てはまります。 これに対し「検診」はある特定の病気について、それがあるかどうかを調べる方法です。例えば、胃がん検診、大腸がん検診などです。最近メタボリックシンドロームという用語がはやっていますが、医学的には特に新しい考え方ではありません。肥満症、高血圧症、糖尿病、高脂血症という4つの生活習慣病は一つ一つは少ししか高くなくても、重なると動脈硬化のリスクは大きく跳ね上がります。厚生労働省によると、40〜70歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人がこの症候群か予備軍に該当するとのこと。ぽっこりおなかで腹囲が85cm、女性で90cm以上の方、運動不足の方は要注意です。
●ドクターとのコミニュケーションを…
インフォームドコンセントは「説明と同意」と訳されます。医師がただ説明するというだけでは不十分であり、病名、病状、検査、可能な治療方法、予後(病気の経過の見通し、病気の経過)、合併症について患者さんが理解できるように伝えること。患者さんに判断能力がない場合は、近親者が代わって承諾することになっています。患者さんには病気や医師の治療成績を示すべきですが、日本ではそれが十分に行なわれていないのが現状です。
セカンドオピニオンという言葉がありますが、これは「第二の意見」「第二医の所見」などと訳されます。ある医師の診察を受けている患者さんが、医療上重要な意思決定をする場合、例えば手術を受けるべきか薬物療法を選択するかについて、これまでの診療経過、検査結果などの資料を基に他の医師の意見や所見を求め判断の材料にすることを「セカンドオピニオンを求める」と表現します。すなわち、極めて専門的な知識を必要とする内容の意思決定をする際に、その分野の専門家の意見を聴くことです。しかしながらわが国では、まだ先進的な取り組みにとどまると評価せざるを得ないでしょう。最後に、わたしたちは地域住民の方々の健康管理や疾病予防、治療について、十分にコミュニケーションを取りながら、身近な健康の相談役としての「ホームドクター」として、少しでもお役に立てれば幸いと考えています。

社団法人「尾北医師会」(大口町下小口6丁目)
犬山、江南、大口、扶桑の2市2町の地域医療を担う医師会員で構成。同地区人口約23万人、医療機関128、医師会員数249人。「尾北看護専門学校」、「尾張北部地域産業保健センター」「地域ケア協力センター」を設置し、人材の育成や事業主・従業員への無料健康相談を実施、保険・医療・福祉サービスの地域ケアシステム化を図る。http://www.bihoku.aichi.med.or.jp/index.html

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