YouNet バヌアツへの誘い(19)・・・(260221掲載)
バヌアツへの誘い
 青山 翔さん

日本で教員をしている友人二人が、一日がかりで、香港、ニュージーランドを経由して、バヌアツは首都のポートビラでプロペラ機に乗り換えて、私のいるマラクラ島まで遊びに来てくれました。今回は、その二人が日本に帰国後、「バヌアツへの誘い」へよせてくれた記事を紹介致します。

永田和久(大口町立大口西小学校教諭)

旅を通して、バヌアツが「世界一しあわせな国」といわれる意味がよく分かりました。なんたって、人があったかい!これが一番の魅力ではないかと思いました。あいさつをすると、顔いっぱいに笑顔をつくりあいさつをしてくれます。握手をもとめると全力で返してくれます。他にも、ごちそうを盛大にふるまってくれたり、初対面にもかかわらずとれたてのパイナップルを豪快にふるまってくれたり、これぞ「おもてなしの心」と言わんばかりでした。最初はそんな彼らに感動していましたが、数日間過ごす中でそのあったかさの意味が分かってきました。バヌアツには食べ物がたくさんありまし た。マンゴーやバナナなどの果物、イモやスイカなどの野菜、鶏肉、牛肉、魚、必要な食べ物がそろっていました。島の大人たちは、子どもを学校に行かせるお金など本当に最低限の収入を得、後はみんなで食べ物を作りながらのんびり生活をしているそうです。誰も飢えることがない、誰もお金に困ることがない、と いった安心感があるのだと思いました。また、バヌアツの時間間隔は笑ってしまうくらいゆるかったです。寝たい時に寝て、置きたい時に起きる、食べたい時に食べて、必要な時に食べたいものを買い に行く、そして話したい時に近くにいる人と話す。約束の時間に少々遅れても大丈夫。急いでる人はむしろ笑われるそうです。自転車もゆっくり。バスを待つのもゆっくり、飛行機を待つ のもゆっくり。そんな「時間を気にしない」ゆるい雰囲気が、気持ちに余裕を作っているのだと思いました。さらに、人と人とのつながりもしっかりしているなと思いました。子育ては、村の全員で行っているそうです。色々な行事を村人総出で、手作りで準備をしていました。 最後に、バヌアツの美しい自然です。島にはビルもなければ電柱もありません。見渡す限りのきれいな空に、きれいな海が広がっていました。海にもぐれば、サンゴ礁と熱帯魚のパラダイス。夜になれば、南十字星を中心に広がる星たちの天空ショーでした。見れば誰もが入りたくなる海、見れば誰もがほれてしまう星 空、そんな空間で生活している彼らがうらやましく思えました。こういった 雰囲気の中で生活している彼らですが、生活スタイルは本当にシンプルでした。枯れ木を組んで火を燃やし、雨水をためて水を使った生活をしていました。お金がたくさんあるわけでも、ブランドの服をもっているわけでも、車を全員がもっているわけでも、パソコンが普及しているわけでもありません。価値観は人それぞれ違うと思いますが、少なくとも彼らは、無いモノの代わりに、生活の中でうれしさや、楽しさ、心地よさをたくさん得ているように思いました。バヌアツの人々に聞いた質問があります。「ユ ハレム グッド(あなたはしあわせですか)?」彼らはみんな「Yes」と即答しました。あったかい笑顔を添えて!バヌアツで知った価値観、自分も日本の生活に生かしていきたいと思います。翔隊員ありがとう!!

古橋祐一(大口町立大口北小学校教諭) 「NO WORRY,NO HURRY.」

バヌアツ共和国を訪れて、たくさんの思い出を作ることができました。その中でも特に心に残ったのが、「NO WORRY,NO HURRY.」というバヌアツの言葉(ことわざ?)です。日本語で訳すならば、「あせるな。めげるな。」という意味だそうです。ふり返ってみると、日本での生活は、常に何かに追われ、細かなことに気を遣って心の余裕をなくしていたように思います。美しい空や海、人との出会いや助け合いを大切にして過ごすバヌアツの人々とふれ合うと、「何が大切なのか」を考え直すような気持ちが湧いてきました。JICAの事務所やバヌアツの小学校を見学しました。現地の教育関係者の方にインタビューすることもできました。バヌアツの先生方が授業を工夫し、子どもたちにとってより充実した学習環境を作り上げようとする姿は大きな刺激となりました。日本もバヌアツも関係ありません。 「どうしてだろう?どうやったらできるんだろう?」子どもたちの心の中に、そんな学びの種が芽生えるような授業が大切だと改めて学びました。ささいなことは気にせずに、心の余裕を大切にして「あせらずに生きること」。失敗してもくじけずに、前向きな笑顔を大切にして「めげずに生きること」。そんな風に生きれば、「I STRET NOMO」(イ ストレット ノモ)=「なんとかなるさ」と、バヌアツの海と空が励ましてくれるようでした。たくさんのエールをもらった「バヌアツの旅」に感謝です!


青山翔

私は二人が来てくれた時、「朋あり遠方より来る、また楽しからずや」という中国の詩人の一節を思い出しました。観光地化されておらず、旅行者は来ない、日本から約六千キロも離れた秘境の地へわざわざ来てくれた友人に感謝するとともに、今もなお自給自足の生活を営み、シンプルな生き方を楽しむマラクラの人たちの魅力を日本の友人と共有できてとても幸せでした。

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