YouNet ペットとの共生を目指して(5)・・・(200827掲載)

〜子犬を迎える準備をしましょう〜
犬山動物病院長 太田亟慈

今回は、これからペットをわが家に迎え入れたい方へのアドバイス。特に、子犬を迎える時に重要なポイントを紹介します。子犬を迎え入れる前には、様々な準備が必要です。何の準備もなく衝動的に飼うのは良くありません。犬についての様々な知識を持ち、飼育する場所や世話の方法、諸経費などの問題を考えておくと良いでしょう。近年、犬の寿命も長くなってきました。送り出す最期の日まで、きちんとお世話してあげることが大切。当たり前のことですが、飼い主はペットを選ぶことができますが、ペットが飼い主を選ぶことはできません。子犬の世話は、犬に費やす時間も労力も成犬とは比べものにならないくらい大変です。人間の子どもと同じです。トイレのしつけや食事の方法など、人と暮らしていくための基本的なルールから教えなくてはなりません。誰が食事を与え誰が散歩に行くのか、また名前の呼び方や褒め方しかり方なども決めておくと良いでしょう。一定のルールがあることで、ペットとの快適な生活を送ることができます。首輪やリード、犬の寝床、トイレなどの準備も必要です。犬の大きさや毛の長さ、活動量などによって、準備するものも変わってきますが、忘れてはいけないのが、犬用のおもちゃ。犬は人間と違い成犬になってもおもちゃを必要とします。大切なことは、適切なおもちゃを与えるということ。それでは、どのようなものが適切なのでしょうか。最近は不適切な犬具で事故が多発しています。軟らかいボールを誤食したとか、犬用ガムが食道に詰まってしまって最悪の状況に発展してしまうなど、様々な問題が発生しています。まず飲み込めない大きさ、壊れない硬さがあること、日常生活に使う素材でないこと、それから硬すぎないこと。これらの条件を満たし、さらに食べ物を使えるタイプのものがお薦めです。
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次に、犬種はどのように選べば良いかということです。純血種か雑種犬か、どちらが良いということはありません。ただ、純血種は成犬になったときの大きさや毛質、性格などの予想ができます。その反面、遺伝的に多い病気などもあります。雌雄も迷うところですが、これは好みによって選択してもよいと思います。一般的にオス犬は見た目は立派で活発な犬が多く、屋内飼育ですとマーキング(排尿による縄張り宣言)の心配が出てきます。それに比べ、メス犬は優しく従順な子が多いので、初めて飼育する人には適しているでしょう。子犬を入手する方法は様々です。知り合いから譲り受けたり、ブリーダー(繁殖家)さんやペットショップで購入したり。大事なことはまず時期です。母犬から早い時期に離すことは良くありません。生後2カ月頃まで、母犬や兄弟犬と過ごさせることは、とても大切なことです。授乳中の母犬からは子犬を安心させる物質が出ています。早くに母犬から離すと、不安傾向が高くなるといわれています。怖いがゆえに攻撃的になることもあると考えられています。
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以上のことからも、衝動的にペットを飼うことはお薦めできません。子犬はとてもかわいいと思います。しかし成長の早いペットたちは、あっという間に育ちます。ですから、飼い主が子犬に対しての熱意のこもったしつけをするのは、子犬の時期が一番大切です。一番かわいい子犬の時期にしっかりとしつけをすることで、残りの十数年がとても楽しい生活となることを確約します。犬は言葉を持ちません。飼い主が、常日頃から十分なケアをすることで、ちょっとした兆候に気付き、様々なことから守ってあげることができます。どうぞ皆さん、ペットとの楽しい暮らしを思い描いて、正しい子育てをしましょう。
 
〜太田亟慈さんプロフィル〜

犬山動物病院(犬山市羽黒)院長、各種研究会、学会に所属、専門は外科手術。ワンストップホスピタルを目標に、人と動物に優しい動物病院づくりを目指す。

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