YouNet A letter from Singapore (271218掲載)

〜シンガポールの高校入試事情〜
 齊慶 辰也さん

 受験会場に入る学生ら
例年12月最初の土曜日は、シンガポール国内に在る唯一の全日制日本式高校である、早稲田渋谷シンガポール校の入学試験日です。その名が示すとおり早稲田大学の系類校である早稲田渋谷シンガポール校は、大変人気があります。学生寮がありますので、入学資格が海外在住者限定でありながらも、東南アジア地区在住の受験生を中心に、定員約110名をいつも満たしています。難関校であり、憧れの目標校であり、本校からは例年50人前後の生徒が進学する学校です。12月とはいえ、気温30度を超え緑溢れる熱帯の環境、コートに手袋、凍えるような日本の寒さが全くない中での入試風景に違和感はあります。

入学試験案内の表示
でも、保護者、学校・塾関係が見送る中、受験生達が緊張した面持ちで受験会場に入っていく様子は、服装の違いはあるものの、入試独特の雰囲気は全く同じです。海外での高校入試は11月初旬から始まります。シンガポール、バンコク、上海など多くの受験生が在住する都市では、高校側が出張入試を実施します。シンガポール国内では10校以上の高校がホテルや日本人会館を利用して入学試験を実施しました。海外での出張入試ですから、受験料は日本の2倍から3倍。それでも、日本に一時帰国して受験するよりも、費用的にも体力的にも随分と助かります。近隣諸国に住む受験生は、シンガポール会場に受験に来ることもよくあります。1月に入ると、日本へ一時帰国をしての高校入試の時期になります。複数校を受験する生徒ですと、1カ月にも渡る受験旅行になります。実家やホテルでの仮住まいからの受験。気候を含めた環境の違いもあり相当大きな負担があります。目標の高校への入学を目指し、精一杯頑張る受験生を、遠くシンガポールから応援する気持ちで見守ります。この受験を終えて全員が一度揃うのは3月初旬の卒業式。3年生にとって、みんながそろって学校で学べるのは2学期まで。これが日本人学校における高校入試なのです。


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