YouNet A letter from Singapore (270918掲載)

〜古のシンガポール プラウ・ウビン〜
 齊慶 辰也さん
シンガポールは、シンガポール本島とその周りの小さな約60の島々で構成されています。周りの島々で最も有名な島が、

 プラウ・ウビン桟橋
セントーサ島。ユニバーサルスタジオ・シンガポールをはじめ多種な観光施設とホテルが建ち並ぶ観光スポットです。そのセントーサ島とはシンガポール本島を挟んで反対側、チャンギ空港の北側にプラウ・ウビンはあります。プラウ・ウビンは、近代化・観光地化したセントーサ島とは全く違います。シンガポール本島内には1カ所しかなくなった古の住宅環境のカンポン(マレー語で村)と呼ばれる集落の様子を残している島です。独立以前のシンガポールの人々は、郊外の簡素な家々が集まったカンポンで、隣人同士助け合い、子供達は戸外で遊び、鍵をかけることもないのどかな暮らしをしていました。プラウ・ウビンは、マレー語で島(プラウ)、花崗岩(ウビン)の意味です。50年以上前には花崗岩の採掘や農業・漁業で2000人を超える人が住んでいたプラウ・ウビン。

島一番の通り
シンガポール政府の「自然に恵まれた素朴な田舎であり続けるべき」との政策で、現在では50人弱が観光を中心にして、古のシンガポール、カンポンで暮らしています。チャンギポイント・フェリーターミナルから簡素なボートで約10分。片道2.5シンガポールドルでプラウ・ウビンに到着です。港の横には、島一番の通りが約50m。粗末ですがレンタサイクルやレストランが幾つか立ち並んでいます。ここで自転車を借りて島内を巡るのがこの島の主な観光です。プラウ・ウビンはやはりシンガポール。電気や水道はもちろん整備されていますし、サイクリングに使う道は舗装されています。傾斜の多い舗装されたジャングルの道を進むと、ほんの少しだけ開けた土地に民家が数軒、軒を並べてひっそり建っていました。他はほとんどジャングル、そして海辺にはマングローブの林。豊かな自然が唯一の観光資源です。今では全くイメージが出来ない、50年前のシンガポールの様子を垣間見ることができました。

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