YouNet A letter from Singapore (270417掲載)

〜リー・クワンユー初代首相死去〜
 齊慶 辰也さん
シンガポールは熱帯の島、国民性からか総じて明るい色の服装が多いように感じられます。日本の秋冬によく見るモノトーン系の服装は、若者に人気が出てきたと聞きましたが、この日まで余り見かけませんでした。

続く弔問の列 
3月下旬、MRT(地下鉄)シティーホール駅は、男性も女性も黒・グレー・白を基調とする服装の人でいっぱいでした。3月23日に死去した「シンガポール建国の父」と呼ばれるリー・クワンユー初代首相の遺体が安置されているパーラメント・ハウスへ弔問に向かう人たちでした。日頃、カラフルな服装を見慣れていたので、モノトーンの服装でいっぱいのMRT駅周辺の様子に驚き、弔問まで7.5時間待ちのアナウンスがあるにも関わらず、当然の如く続々と列に並ぶ人たちに、さらに大きな驚きを感じました。この場所以外の18地域にも24時間体制の弔問所が開設され、このような情報はインターネットを通して随時最新のものが提供されました。

リー元首相を追悼する街頭情報 
街頭にはリー元首相の功績や敬意を示す情報が表示され、テレビ等は追悼番組が繰り返し放送されました。死去から1週間後の29日、国立シンガポール大学文化センターで国葬が行われました。日本からは安倍首相が参列しました。国葬に向かう遺体を乗せた車列は、移動距離15.4kmに及び、雷雨の中、数10万人の国民が見送りました。死去から国葬までの一連の様子から、シンガポールの人たちにとって、リー元首相が如何に尊敬され敬意を持って扱われているかを強く実感し、一人一人がシンガポール国民としての強い自覚を持っていることも感じました。さらに、様々なメディアや方法を使い広く国民に情報を提供し、迅速で的確に動くシンガポール政府の対応に驚き、経済の隆盛を極め、観光でも教育でも著しい成果を挙げているシンガポールの強みを感じました。リー元首相のご冥福をお祈りいたします。



戻る