YouNet A letter from Singapore (260718掲載)

〜ラマダーンがやってきた〜
 齊慶 辰也さん

モスク
シンガポールは多民族国家であり、多宗教に配慮しそれぞれを尊重する国家です。「異なることや違い」もそのまま受け入れられ、様々な宗教に裏打ちされた行事や祭りがあります。今年の西暦6月28日から7月27日は、イスラム暦の第9番目の月でラマダーン(断食月)と呼びます。ムスリム(イスラム教徒)は、日の出前の礼拝時間から日没まで、飲食や喫煙などの欲を絶つという徳行を行います。空腹を体験することで、貧しい人たちに共感する心を養い、欲望を抑え、自制心を強くする精神的な修行です。シンガポール日本人学校には少数ですがムスリムの児童・生徒や職員がいます。
ヒジャーブを着けた生徒 
彼らは、日の出前のまだ真っ暗な時間に朝食をとり、夕方7時過ぎの日没後の夕食までは食事はおろか水すらも全く摂りません。この生活を約1カ月続けます。当然、学校の授業は平常通り行いますし、お弁当の時間もあります。お弁当の時間は、他の生徒が食事している中、平然と読書をしていますし、体育の授業も一生懸命取り組んでいます。ムスリムの精神的な強さには驚きます。ムスリムの女性は頭部を覆うヒジャーブを着用することが多く、一目で分かります。本校の生徒達は、宗教上の習慣や服装の違いを自然に受け入れ、普通に生活しています。その様子に感心しますし、外国にある日本人学校だと実感します。7月28日はラマダーン明けを祝うシンガポールのパブリックホリデイで、ハリ・ラヤ・プアサです。プアサとは、マレー語で断食の事を意味します。この日に向けて数日前から、ムスリムの人たちは大掃除をしたり特別なケーキやご馳走を作ったりして準備をします。当日は、先ずモスクに出掛け合同礼拝に参加し、その後家族でご馳走を食べます。先祖の墓参に出掛ける人もいます。まるで日本のお正月を迎えるような感じですね。




戻る