YouNet くすり博物館のちょこっと歳時記 (5)・・・(250824掲載)

 〜ハッカでひんやり〜
暑い夏、皆様はどのように涼を取っていますでしょうか。薬草を使った涼のとり方にミントを使う方法があります。ミントといえばチョコミントのアイスクリームやミント味のガム、ハッカ味の飴がお馴染みですね。ミントに含まれるメントールという成分が清涼感を感じさせるため、食用以外にも入浴剤や制汗剤に昔から利用されてきました。ミントにはさまざまな品種があり、日本にも固有のミントがあります。日本ハッカと呼ばれるその種は香りが強く、海外にも輸出されるほどの人気品種です。くすり博物館ではこの日本ハッカの他に西洋でも古くからハーブとして親しまれてきたスペアミントやペパーミント、アップルミントなどを栽培しています。さて、明治時代から販売されているハッカを使った清涼剤に「仁丹」があります。「仁丹」は独特の芳香が特徴ですが、ロゴのひげ帽子のおじさんも特徴的です。このおじさん、長年同じ人物かと思いきや、過去何回かデザインが変更されて、別のおじさんになっています。くすり博物館でも歴代の仁丹おじさんが描かれた看板をいくつか所蔵しています。仁丹に限らず漢方においてもハッカはれっきとした生薬として扱われています。「ハッカ(薄荷)」の生薬名で茎葉、花を乾燥させたものを用います。ハッカを蒸留して得られた精油はハッカ油と呼ばれ、薬局に行くと「日局ハッカ油」を買うことができます。ハッカ油を使って自宅で簡単にできるハッカ水の作り方をご紹介しましょう。作り方は、水1gにハッカ油2mlを入れて15分間よく振り混ぜ、一晩(12時間ほど)寝かせるだけです。簡単でしょう。ハッカ水をスプレーなどに入れておいて、汗をかいたときのお肌や、お風呂にお好みの量を吹きかけるとひんやりした清涼感を楽しめます。日本薬局方は明治19年に、オランダやドイツの薬局方を参考にして、486品目の医薬品が収載されたのが始まりとされています。その後何回か改定を重ね、平成23年の改定では1764品目の医薬品が収載されています。このうちの約200種類の薬用植物が現在でも局方の植物とされているんですよ。化学合成が全盛の時代でも昔ながらの薬草が頑張っているのはうれしいですね。
                                  (くすり博物館 日和佐 真)


戻る