YouNet 尾北医師会シリーズ(7)・・・(191128掲載)

気楽にお尋ねください、産婦人科医に!
尾北医師会 松川良治
 
最近、医療崩壊とか医師不足が話題になっています。特に産婦人科医が不足していると言われています。皆さんからのお便りでも、産婦人科医不足が心配だが、この地域は大丈夫?とか、産婦人科はお産だけでなく他にどんな疾患を扱っているの?また、産婦人科医との上手な付き合い方は?というのがありました。今回はそれらの話題について述べてみます。
お産について
わが国では「お産は病気ではなく、うまくいって当たり前」と、一般の人には当然のように言われています。従って、お産で何か異常があればまず医療が疑われ、そしてすぐに医療訴訟です。日々研鑽に励み、いつも患者さんのことを考えている我々産婦人科医にとっては、誠に悲しいことです。日本の周産期医療は世界最高の水準ですが、最近の厚生労働省研究班の調査では、分娩時の大出血など、母体死亡につながり得る重篤な事態の発生は「250分娩に1」と報告されています。そして、生まれてくる赤ちゃんに異常が起こる頻度はもっと多いのです。つまり、お産には絶えずリスクがあるということを理解しておいてほしいと思います。絶対安全であるお産は無いということです。しかも医療者の過重労働、助産師不足など問題点はたくさんあります。しかしながら、我々には医師としての誇りと使命感があります。いつも患者さんのために懸命の努力をしています。そして皆さん、この地域の産科医療に関しては、来年、愛北病院と昭和病院が統合されて江南厚生病院となり、産科、新生児を扱う周産期医療のセンターになりますので安心してください。また、産科を目指す若者も育っていますので、少なくともこの地域ではお産難民は出ないと思っています。
お産以外について
産婦人科へは次のような時にお訪ね下さい。妊娠しているかどうか、月経が不順だ、子どもが出来ない、不正出血がある、生理痛がひどい、生理の量が多い、生理を遅らせたい、外陰部が痒い、痛い、帯下が多い、癌が心配、下腹部が痛い、腰痛がある、性病が心配、避妊の相談をしたい、排尿の異常がある、などです。癌検診は主に子宮、卵巣、乳房などです。最近クラミジアなどの性病が増えていますので、避妊も兼ねて産婦人科医に相談してください。更年期障害の症状は顔がほてる、汗をかきやすい、息切れや動悸がする、寝つきが悪い、イライラ、くよくよする、頭痛やめまいがある、疲れやすい、肩こりや腰痛があるなど多彩です。内科医、精神科医、整形外科医と相談しながら診療しています。そのほか、生活習慣病、骨粗鬆症、各種の予防接種、新生児、乳幼児の疾患、乳幼児の検診など幅広く診療しています。産婦人科医は、赤ちゃんからおばあさんに至るまでのかかりつけ医としても機能しています。一般的に産婦人科医は話しやすく、気さくな医者が多いので、どんなことでも気楽にお尋ねください。そして、納得がいくまで聞いてください。

社団法人「尾北医師会」(大口町下小口6丁目)
犬山、江南、大口、扶桑各市町の地域医療を担う医師会員(現在249人)で構成。尾北看護専門学校、尾張北部地域産業保健センター、地域ケア協力センターを設置、人材育成や保健・医療・福祉サービスの地域ケアシステム化を図る。http://www.bihoku.aichi.med.or.jp/

戻 る