ゆ・ねっと(YouNet)紙掲載分
このコーナーはYou Net紙で紹介した記事の一部を掲載しております

「食育」 特集・・・(181122掲載)

−地域に根ざした学校給食−
●育てて食べる喜びも
今年度、文部科学省の指定を受け「地域に根ざした学校給食推進事業」に取り組む犬山市の全小中学校。東小学校(相澤陽一校長)を拠点校に、各校配置の栄養士らが中心となり、PTAはもちろんのこと地域生産者や調理員との意見交換、交流などを持ちながら子どもたちに体験活動を通して「食」を考える機会を提供している。
担任と学校栄養職員による「やさいをしろう」の授業(東小学校) 子どもたちが和やかに、楽しく食事をする場「学校給食」。その役割は望ましい食習慣を身に付けさせることであり、子ども同士や教師とのコミュニケーションの場でもある。犬山市では、学校給食の開始以来、各小中学校の給食室で副食を作る「単独校調理場方式」を継続。各校に学校栄養職員が配置され、小中学校別に「市内統一献立」を作成。それを基に各校で材料を購入し給食室で調理している。生きた教材となるよう幅広い食材を使用。行事に合わせた献立や郷土料理、世界の料理など、旬の食材を使ったメニューが考えられ、最近では同市や周辺地域で生産した野菜や果物などを使った「地産地消」の取り組みも始めている。食の環境整備にも力を入れ、平成12年には全校でポリカーボネート製の食器を、強化磁器食器に変更。空き教室などを利用して、親子給食会や他クラスとの交流会食などができるランチルームも整備されている。


●犬山の農業を知り生産者との交流
「地域に根ざした学校給食」を目指し、各校は「学校・生産者連携部会」「食に関する指導部会」「地場産物開発部会」の3部会に分かれて研究。地元生産者で組織する「犬山青空朝市会(日比野清正会長)」の協力を得て、子どもたちと生産者が交流し、併せて学校給食への食材納入のための流通経路を調整。犬山産の「あいちのかおり」米は、11月から市内全校に供給されるに至っている。児童・生徒は犬山の農業を知り、地場産物の梅や桃などを使ったジュースやお菓子作りにも挑戦。夏休みには、保護者にも地場産物を理解してもらおうと、親子参加の「地場産物を使った学校給食コンクール」も実施した。

「犬山青空朝市会」のメンバー。毎週火曜8:00〜10:00、犬山市の下本町で「犬山どんでん朝市」に出店。犬山市民健康館さら・さくらでも毎土曜10:00〜12:00、毎日曜10:00〜15:00に出店する。
調理員さんとの「ふれあい会食会」(東小学校)
●単独校調理場の良さを生かして

単独校調理場ならでは利点を生かし、調理員と児童とのふれあい会食なども実施。自分たちで栽培したゴーヤやレタスなどを調理員に手渡し、給食に取り入れてもらうなど、児童が調理員を身近に感じ、育てた野菜が調理される喜びにもつなげている。さらに、地場産物の導入では、生産者が直接単独調理場に納入することから、生産者の食材に対する思いや食材の状態を調理員に伝えるなど、生産者と調理員のコミュニケーションの場にもなっているという。

―各市町の学校給食でも地産地消―
●正しい知識を繰り返し
「地産地消」を大切に、江南市のなばなや大口町の大豆、扶桑町のゴボウなど、各市町でも地域の良い食材を積極的に給食や授業に取り入れる試みが進んでいる。
◇      ◇  
扶桑町6小中学校を担当する2人の学校栄養職員の1人として長年、食育に取り組んでいる住井久子さん(写真)。残さいを少なくするためにも給食を食べる子どもたちの様子や生の感想を知りたいと、各校を訪れ子どもたちと一緒に給食を食べる毎日で、山名小学校3年1組を訪れた時も、わずかな時間を使って米飯について話をした。給食に使う米は、町内で一番多く作られている「あいちのかおり」と同じ種類の米。米にも玄米や白米など種類があり、精米で失われた栄養素を補うため給食では強化米を加えていることなどを手作りの模型を使って語り掛け、食材だけでなく地産地消、栄養の取り方についても理解や興味が持てるよう、学年に合わせて分かりやすく伝えたいと工夫を凝らす。

―健康づくりは「食」から―
●食育は母の背中から
「『母親は家族の命を預かっている』という気持ちで、家庭を守ってきました」と話す押野勝子さん(犬山市羽黒)。犬山健康づくり食生活改善協議会(食会)の推進員を務めている。

食事はもちろん、娘へのおやつも手作りしてきた押野さん。「発酵器などなかった時代なので、冬には風呂の中にボールを浮かせ、パンの種をねかせたものです」と笑う。押野さんの母親も手作り主義で、「母と出掛けても、買かって食べさせてもらうことなく、いつもお腹ペコペコ。今思うと、母の背中を見て育ったのでしょうね。人生健康で過ごしたいのなら、子どもの時から食を大切にしてほしい。子や家族の命を預かるのはお母さん。生活習慣病が子どもにまで現れる今、それをもっと認識してほしい」と続ける。

「食」の大切さについて話す押野さん(左)と田口さん

―手の平の上で豆腐切り―
日頃から、何となく「食」に興味を持っていた稲垣真理さん(犬山市前原)がふと出会ったのが「坂本廣子の台所育児・1歳から包丁を」の本。早速買い求め「これだ!」と感じた。と同時に、名古屋市での著者の講演会にも出向いてしまったと言う。

「5歳と2歳の息子たちが、大人になってインスタントものや、添加物の固まりのような食べ物ばかりで生活してほしくない」と感じている稲垣さん。「でも、知識も料理のノウハウもそんなにある訳でもないし、じっくり作れる時間もそんなにない」。そんな気持ちを持っていた時だっただけに、その本との出会いはとてもタイムリーなものだった。


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