YouNet ペットとの共生を目指して(11)・・・(210225掲載)

〜動物を介してのボランティア活動〜
犬山動物病院長 太田亟慈

今回は、動物介在活動についてです。動物介在活動は略してAAA(アニマルアシステッドアクティビティー)。獣医師や動物関連の技術者が、動物を介して体や心に問題のある人たちをサポートする活動のことで、これはエンドレスな活動です。犬山動物病院では数年前から、犬山市の保育園・老人ホームや障害者施設への訪問活動をしています。全国初の、市からの委託で実施するAAAです。一般的にはボランティア団体が独自に活動を行い、各市町村へ訪問活動のお願いをして許可を得てから実施するのですが、犬山市は唯一、当院と各施設のスケジュール調整や管理を市が行い、連絡をいただいて訪問します。当初は名古屋や岐阜などからも依頼があり実施していましたが、現在は犬山市だけの訪問活動に力を注いでいます。最近は大型の医療施設からの依頼もあり、時々訪問して訓練された犬に触ってもらったり、動物に関する話をしたりしています。動物好きの子どもたちやお年寄りは喜んでくれることはもちろんですが、嫌がって触ることや話を聞くこともできない子どもや老人もいます。けれども、何回も通ううちに段々慣れ、訪問日を楽しみにしてくれるようになります。特に保育園では、ワンちゃんとの触れ合いをテーマに、動物に触るときは飼い主に聞いてから…といったマナーも徹底指導しています。平成18年に永眠したラブラドールのパトラは、犬山市の初代職員犬の称号をもらい、犬山の子どもたちにはとても有名な犬でした。最期に送る際には近くの保育園から大勢の子どもたちが駆け付けてくれ、人と動物のきずなを改めて感じさせられました。
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老人ホームへは、犬山動物病院へ来院される方でこの活動に興味のある方々にも参加していただいています。制約(動物の健康診断・傷害保険など)が厳しいのであまり大勢の参加はできませんが、参加された方は皆さん一様に、良い経験をしたと話されます。僕自身、子どもが小学生時代(12〜3年前)に初めて老人ホーム訪問活動に参加して感動した経験があり、そういった経験が今の活動にもつながっています。動物連れなしでも参加できますので、一度参加してみませんか。子どもたちも一緒に参加すると、とても有意義な時間になること間違いなしです。
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近年、こうした活動は全国的に盛り上がりを見せています。欧米社会と比べてみて、ペットへの関心はさほど変わりはないと思われますが、社会貢献・ボランティア活動にはいまだ消極的な気がする日本。あまり考え過ぎず、まずは参加してみることから始められたらいかがでしょう。若い世代に興味を持っていただき、様々なAAAに参加してもらえると活発な活動になっていくと思います。当院では週に1〜2回の活動をし、中心スタッフ以外にもできるだけ全スタッフが参加できるよう、スケジュールを組んでいます。特に新人獣医師・看護師などは積極的に参加、より充実した活動を目指しています。ペットブームは続いています。動物たちと暮らす家庭も増えてきています。今一度、ペットとの暮らしの在り方を考えてみませんか。動物好きの皆さん、一緒に楽しいボランティア活動に参加しませんか。
 
〜太田亟慈さんプロフィル〜

犬山動物病院(犬山市羽黒)院長、各種研究会、学会に所属、専門は外科手術。ワンストップホスピタルを目標に、人と動物に優しい動物病院づくりを目指す。

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