平成18年7月8日掲載



今回は江南市の天然寺、松岩寺、犬山市の徳授寺、立圓寺、扶桑町の顕宝寺、大口町の長松寺の6寺。順不同。 





〔取材協力〕(株)松屋佛壇店




了義山 徳授寺(りょうぎさん とくじゅうじ) 臨済宗妙心寺派、本尊 聖観世音菩薩 
犬山市犬山南古券232 TEL〈0568〉61-1077 
当寺は赤門寺とも呼ばれる。初め室町時代中期に桃隠玄朔が草庵を結んだ所といわれる。文明8(1476)年、妙心寺紫衣再興を果たした柏庭宗松が、一寺を建立して了義山徳授院と名付けたのが始まりである。以後、柏庭門派の中心寺院として栄え、塔頭8ケ庵(乾徳・玉清・泰月・臨清・自済・龍雲・祥雲・慶雲)があった。小牧・長久手の戦いの時、楽田青塚の陣営に寺の建物が運ばれて一時荒廃したが、まもなく可児市の常楽寺を移して伽藍が復興された。
本尊は東美濃の大円寺山門の聖観世音菩薩(湛慶作)を移して安置(秘仏)した。境内には文人村瀬太乙、犬山焼の兼松所助、犬山視聞図会の著者・長足庵甫磨の墓がある。平成16年9月より本堂等改修工事を行い、平成18年11月5日に現住職・慈明和尚晋山式ならびに落慶法要を厳修する予定。

田中山 立圓寺(たなかさん りゅうえんじ) 浄土真宗大谷派、本尊 阿弥陀如来
犬山市羽黒小安40番地 TEL〈0568〉67-0331 

当寺の開山は、鎌倉初期の武将で源頼朝に仕え平氏追討に功を立て侍所であった梶原氏の子孫、斉木圖書政次の嫡子五左衛門尉政胤と伝えられている。父母の恩に報いるため明応8(1499)年、丹羽郡羽黒村田中に一宇を建て田中寺と号した。二男は出家して浄教と名告(なの)り、真宗一派を聞信発願し、創建した。その後、第三代慶西寺住が、寛永13(1636)年に田中山立圓寺と改め明暦2(1656)年、堂宇を現在地に移した。
本堂は文政7(1824)年、山門は天保9(1838)年、鐘楼は元治元(1864)年、玄関・庫裏は明治13(1880)年に再建し、倶会堂は昭和55年にそれぞれ建立。境内には放生池や巨木を配し、静寂な環境である。

●多福山 顕宝寺(たふくざん けんぽうじ ) 臨済宗妙心寺派、本尊 聖観世音菩薩
扶桑町南山名寺前28 TEL〈0587〉93-2971
正安3(1301)年9月、開基多和田七右エ門尉(珍譽顯寶大居士)は両親の菩提を弔うため多福山顕宝寺を開創した。初め浄土宗に属していたが、明応9(1500)年9月に殿堂を再興し、悟渓宗頓和尚を勧請開山として臨済宗妙心寺派に属した。享保18(1733)年、正月の火災により焼失。同年5月に十代檀巖宗柱和尚が現在の地に移した。その後、明治24年濃尾地震により倒壊した本堂を同37年に十四代洪嶽祖恩和尚が再建した。庫裏は昭和63年、山門と釈迦堂は平成10年にそれぞれ新築落慶した。
釈迦堂安置の鋳造誕生仏立像は国立奈良博物館において、平安初期鋳造仏の基調となる全国でも稀な誕生仏であると鑑定され、昭和54年愛知県有形文化財の指定を受けた。毎年4月に行われる花まつりで開帳している。

鶴林山 長松寺(かくりんざん ちょうしょうじ) 曹洞宗、本尊 汗かき地蔵大菩薩
大口町大屋敷三-196 TEL〈0587〉95-2100
当寺は元禄7(1694)年、現稲沢市奥田の長松寺を現在地へ移築した時に本尊とともに移されたものといわれている。当寺に祭られている御本尊の「鋳鉄地蔵菩薩」は古くから「延命子安御汗地蔵菩薩」または「汗かき地蔵」として敬われてきた。人々の幸福と長生きを願い、子どもを愛し、何か災いが起きる時は全身に汗を出して知らせるという霊験のある地蔵さまといわれる。元禄8年、この地方に発生した日照り続きには草木も枯れてお百姓たちが大変困っていた時に、雨を降らせたり、明治元年入鹿池の堤防が決壊した時には人々を水難から守ったという話が伝えられている。
この御本尊は室町時代の作で、昭和34年に愛知県重要文化財に指定された。平成15年には本堂、書院などが新築された。

●龍興山 天然寺(りゅうこうざん てんねんじ) 浄土宗西山禅林寺派、本尊 阿弥陀如来
江南市上奈良町栄144 TEL〈0587〉55-2347
当寺は明正天皇の御宇、寛永20(1643)年達長平祈願(永久の泰平を達成し願う所)により建立され、龍興山開運院天然寺と号する。開山は曼陀羅寺第三十世洞空教観和尚である。本尊に下品上生(げぼんじょうしょう)の阿弥陀如来を祭り、善光寺尊像を勧請(かんじょう)安置している。現本堂は3度目の新築で弘化4(1847)年に地築が始まり嘉永3(1850)年に落慶した。山門は寺内で最も年数が経っている建物であり、文政2(1819)年に建築され、平成14年の晋山式に当たり修復した。 
文政8(1825)年に建立された鐘楼堂は大垣の西方寺に移築され、現在の鐘楼は大正元年に落成。昭和の戦争で供出した梵鐘は、昭和24年に平和の鐘として再鋳され妙音を響かせている。境内には文人であった戒空義住上人の歌碑がある。

●仙境山 松岩寺(せんきょうざん しょうがんじ) 曹洞宗、本尊 聖観世音菩薩
江南市布袋町西布7番地 TEL〈0587〉55-0707
当寺は名鉄布袋駅前に位置し、境内には大きな石の地蔵さまがある。元亀元(1570)年僧海翁の開基で、明谷文察大和尚(勅特賜(ちょくとくちょう)寶覚鏡堂禅師)を開山に、二世に龍嶽元除大和尚を迎え、亀嶽山瑞龍寺と号した。しかし、元禄13(1700)年尾張藩主徳川光友公の法名(瑞龍院天蓮社順譽源正)に差し合い現在の寺号に改めた。その後、代を重ねたが、延享2(1745)年絶大頂大和尚を再興開山に迎え、二世の名古屋万松寺19世・長栄寺11世の臥山静高大和尚の伝燈地とした。そして、海部郡の片法幢会地廣濟寺への進住地となった。
また、明治7年に布袋小学校・布袋北小学校の前身である緝煕義(しゅうきぎ)学校となり、児童教育の場となった寺でもある。

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