平成17年7月9日掲載


今回は江南市の上宮寺、道音寺、犬山市の本龍寺、祥雲寺、扶桑町の覚王寺、大口町の徳林寺の6寺院に御協力頂きました。順不同。


〔取材協力〕(株)松屋佛壇店

大澤山 本龍寺(ほんりゅうじ) 浄土真宗大谷派 本尊 阿弥陀如来
犬山市犬山東古券542 TEL〈0568〉61-1486
当山の前身は広たく山承国寺という。濃州各務原郡鵜沼の城主大澤家の菩提寺である。第20代霧ヶ城の城主大澤和泉守正吉の舎弟伊賀守正継が、延徳2(1490)年3月に承国寺に入り、明応2(1493)年、蓮如上人に帰依するに至って禅寺から浄土真宗本寺に転じ、永正11(1514)年、実如上人により坊号を頂き、西蔵坊と称し、同年8月尾張犬山余坂村小島の里に引寺。その後、慶長14(1609)年、四ツ屋(現寺内町)に移す。同年7月、教如上人より本龍寺の名を賜る。平成5年、本堂、山門、書院、鐘楼堂を再建。
昭和24年に制作された当寺の鐘は「広島平和悲願の鐘」の制作などで知られる、重要無形文化財保持者・人間国宝の香取正彦さんの作であり、その音色は誠に美しいといわれている。

金剛山 祥雲寺(しょううんじ) 臨済宗妙心寺派 本尊 聖観世音菩薩
犬山市犬山南古券5 TEL〈0568〉61-0738

当山は大永6(1526)年、朴翁和尚によって、徳授寺=南古券=境内に建立された塔頭、祥雲庵が始まりである。天正12年の小牧・長久手戦では、犬山市羽黒旭に陣営として建てられたが、戦いが終わった後、祥雲庵の住職が住んだ。承応2(1653)年、悦堂和尚が、羽黒から現在地に移して、徳授寺の末寺としたので、当山ではこの悦堂和尚を開基として仰いでいる。寛政7(1795)年10月に祥雲庵を祥雲寺と改めた。 文化8(1811)年、7世頭宗和尚が南向きであった本堂を東向きに建て直し総門も東に再建した。この建物の配置が現在も続いている。
本堂は昭和12年建立。庫裡は昭和27年に完成した。弘法堂、四国八十八ヶ所築山があり、毎年12月22日冬至の日に、冬至弘法の行事を修行している。

●大龍山 徳林寺(とくりんじ) 臨済宗妙心寺派 本尊 聖観世音菩薩
大口町余野2-201 TEL〈0587〉95-2405
当山はこの地方に伝わる伝説「山姥物語」縁の寺であり、永仁2(1294)年、尾張国余野村に住む武士小池与八郎貞宗が亡母(山姥)追福のために建立した寺である。当時は「空母山徳蓮寺」と称し、真言宗であった。 その後、戦国の兵火に幾度となく遭い文明元(1469)年、大久地城主であった織田遠江守廣近公(開基)が塔頭の龍福庵、全徳庵、宝光院、徳重庵と合わせて「大龍山徳林寺」と改称し悟渓宗頓禅師を招き開山した。 悟渓禅師は悟渓下八哲の一人壽嶽宗彭禅師を創建開山として継承させた。壽嶽禅師の法系は尾張を中心に約50カ寺に及ぶ。 
天正12(1584)年、小牧長久手の合戦で秀吉方の兵火に遭ったが、古方丈と中門だけが残り現存している。山門は犬山城の第一黒門を明治9年に移築したものである。

●金華山 覚王寺(かくおうじ) 臨済宗妙心寺派 本尊 十一面観世音菩薩
扶桑町高雄南屋敷乙135 TEL〈0587〉93-2196
当寺は元徳2(1330)年の創建で当初、天台宗の小本山であった。 その後、文明年間に火災に遭い、宝蔵等一切を焼失。永正7(1510)年9月、14世友峯和尚が現在の高雄北海道に子寺を再建。金華山覺王寺と称し臨済宗に改めた。よって友峯和尚を開山としている。享保14(1729)年、現在地に移る。明治5(1872)年には、現在高雄小学校の前進ともいえる「仮義校」が当寺内に開校し、初代校長に儒学者村瀬太乙を招聘。明治9年に中海道に移転された。
現在の伽藍・本堂は文化11(1814)年、庫裡は天保11(1840)年、大日堂は寛政6(1795)年、山門は明治35(1902)年に建立、鐘楼は昭和9(1933)年に再建。これらはことし国の登録有形文化財に指定された。2010年には、開創500年を迎える。

●太子山 上宮寺(じょうぐうじ) 真宗大谷派 本尊 阿弥陀如来
江南市前飛保町寺町166 TEL〈0587〉55-1716
『上宮寺記』(原本は、戦前、東大資料編纂所に貸し出し中に空襲により焼失。写本のみ現存)には、邃古のこととして、当寺は聖徳太子草創の寺であると記される。上古は天台宗であった。後鳥羽帝の北面の武士・宮田杢介正慶なる者が、承久の乱(1221年)の後に比叡山に出家し、修行の後、遊行、当地に至りてこの寺に入った。親鸞聖人が関東より帰洛の時、三州矢作の柳堂において、他力本願の教えを説かれるのを伝聞し、急ぎ詣でてついに、天台宗を改め、浄土真宗に帰したとされる。
当寺が最も隆盛するのは信長・秀吉の時代で、信長や秀吉の手紙等が含まれていたとされる『上宮寺記』は、江戸初期に書かれたものである。現在の本堂は、濃尾震災後の明治28年に再建され、庫裡は250年ほど前のものとされる。

一見山 道音寺(どうおんじ) 曹洞宗 本尊 釋迦牟尼佛
江南市五明町青木282 TEL〈0587〉55-3472
本山は福井県の永平寺。天文7(1538)年、僧・雄峯祖英首座により創建、普香寺と称した。その後、天正17(1589)年ごろ、草創開山海巌宋奕禅師(後に大本山永平寺21世)により法地となる。一時荒廃したが、寛文年間に一仲宗萬和尚によって再興され、開基の戒名「一見道音禅定門」にちなみ、一見山道音寺と改号。末寺一寺を有する。 第4世賢外逸俊和尚は大本山総持寺五庵の住職を務め、西春町の宝円寺、一宮市の全久寺・地蔵寺・成福寺、岩倉市の宝聚院、五明町の法林寺等を開山。第5世徳運瑞鳳和尚は名古屋市の周泉寺を開いた。
本堂は当山19世中興大愚得明和尚が昭和5年、26歳の時に建立されたもので重厚で、禅寺の風格をあらわしている。山内には回廊を有し、荘厳な趣を持つ観音堂がある。

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