11月に父健治さんの後を継ぎ、社長に就任したばかりの鈴木篤志さん。「工務店の新しい未来を創造する」という新たな企業理念を掲げ、これまで以上に仕事に邁進しています。鈴木さんは高校を卒業してすぐに大工の修業に入りました。その後、専門学校に通い、二級建築士の免許を取得します。さらに大阪の会社でマンションや駅前ビル建設の現場監督を10年ほど務めた後、地元の建売用地を扱う会社に移り、土地について学びました。「今振り返れば、父の後を継ぐために建築に関わりのあるいろいろな分野の知識や技術を習得してきたようなものですね。当時は特別意識していたわけではないのですが」と言います。実は、鈴木さんの家系は木や建築にゆかりが深いようです。「父、祖父が建築に携わっていて、母方の祖父はとび職の親方。曾祖父は木こりのような仕事をしていたと聞きました。代々そういったDNAがあるのかもしれませんね」と、笑いながら話します。4年前、父親の経営するスズケンに入社したとき、会社は不景気で、このままでは業界で生き残っていけないと感じた鈴木さん。今後自分が継いでいくためには事業の方向転換の必要があると、下請仕事を一切止め、自社で家づくりをする体制に改めました。それが3年前のことで木造住宅専門部署として「きごころホーム」を立ち上げたのです。「きごころホーム」では自然素材の家づくりに取り組んでいます。「以前、化学物質過敏症の方の家づくりをお手伝いさせていただきました。床や壁、断熱材などからワックスや襖の和紙に至るまで、すべてサンプルを取り寄せ、お客様に吟味していただき、根気よく素材一つ一つを選んでいきました。今は体調も改善されたとお聞きしています」と、鈴木さん。また、鈴木さんは打ち合わせを大切に考え、家づくりには施主の積極的な参加を呼び掛けています。アレルギーやアトピーの相談も含め、健康で過ごせる家づくりをしていきたいと、「イエラボ」という勉強会や見学会を毎月開催して、施主参加型住宅を目指しています。 |