「一つとして同じ葬儀はありません。そこがこの仕事の難しいところでもあり、やりがいでもあります」と、平安会館の葬祭プランナー、寺澤美穂さんは話します。故人の遺志や家族の思いなどを酌み取って、それを葬儀に反映していくことが寺澤さんの仕事。「亡くなられた方の趣味や思い出をいろいろな形で演出するなど、ご家族にとって心に残る式となるよう心掛けています」と寺澤さん。だからこそ、葬儀の後に「あなたでよかった」と言葉を掛けてもらったときは、達成感やうれしさがこみ上げてくるそうです。寺澤さんは、大学では心理学を専攻していました。卒業後は、人の心に触れる仕事ができればと葬祭業に就きます。悲しみの中にある遺族に寄り添いながら、誠意をもって最後のお別れの手伝いに当たる葬祭プランナーは、まさに寺澤さんが目指した心の仕事でした。「小学校に上がる前に母が亡くなり、父と祖母と妹の4人暮らしでした。その祖母も私が高校生の時に他界しました」。身近な人の葬儀を人生の早い時期に経験したことも、この道に進んだ一因としてあるかもしれないと言います。新人時代には式の進行ばかりに気を取られ、周囲を見る余裕がなかったという寺澤さん。地域の慣習やしきたり、聞き慣れない言葉などにも随分と戸惑ったそうです。そんな寺澤さんも、今年で入社六年目。「いつの間にか女性社員では中堅になっていました」と、照れくさそうに話します。今後は後輩の指導も自身の大切な役目と感じています。また、現在は犬山と大口、二つの斎場の館長を務めています。どちらもまだ新しい斎場で、白を基調とした落ち着いたたたずまいが印象的です。「まだまだ地域の方々の認知度は高くありません。一軒による貸し切りスタイルの斎場ですので、ご遺族も他に気兼ねすることなく、くつろいでご葬儀に臨むことができます。こうした特長などをもっと多くの方に知っていただくとともに、近年増えてきました事前相談にもお気軽にお越しいただけるような、地域に根ざした斎場にしていきたいですね」と、館長としての抱負を語ってくれました。 |