家庭科の授業が好きだった少女は、大学で住居学を専攻します。住居学とは家(建物)そのものを学ぶのではなく、ひとが快適に住まうための環境についてなど、ソフト面からアプローチしていく学問です。いつしか幼い頃から興味を惹かれていた住居や生活に関連する職につくことが、伊藤さんの目標になっていました。卒業後、京都の建設会社に就職します。しかし、担当したのは大学の校舎や公共施設でした。その後、岐阜の設計事務所などに会社を移りましたが、自身が思い描いていた仕事とは違っていました。結婚を機に江南市で暮らすようになって出会ったのが、安井建設㈱=江南市赤童子町南山=でした。同社住宅事業部のコーディネーターとして、勤務を始めます。「お客様といっしょになって夢や思いを形にしていく、そんな家づくりのお手伝いをできることが本当にうれしかったです」。求めていた仕事に就いた伊藤さんでしたが、間もなく妊娠に気づきます。「入社してまだ日も浅く、会社に迷惑がかかると悩んでいましたが、社長が育児休業制度を導入し、対応してくださったのです」と当時を振り返って、感謝しきれないと話します。職場復帰後には部署を異動。設計もできるということで、デザイン住宅部門「アトリエ・コ・ラボ」に席を置くことになったのです。「どちらかと言えば男性的なイメージが強いアトリエ・コ・ラボの住宅に、女性らしさが加味できればと仕事に取り組みました」。伊藤さんには胸の内で温めていたプランがありました。就学前の子ども2人を持つ伊藤さん自身の実体験と、建設や住まいに関する知識を生かして、ママたちを集めた家づくり勉強会のようなものが開けないかということでした。マーケティングの観点から同様の企画を考えていた社長や上司の賛同を得て、勉強会が実現することになりました。題して「子育て世代の家造りママ座談会」。ランチやパン作りを楽しみながら、家づくりや子育てについて語り合おうというもので、現在参加者を募集中です。「理想の住まいについて皆さんといっしょに考えてみませんか。参加費は無料です。お子様連
れやママ友達でも大丈夫。ぜひお気軽に参加してください」と伊藤さんは呼び掛けています。 |