中堅社員として仕事に励んでいた加藤政夫さんに転機が訪れたのは約2年前のことでした。「父が糖尿病とその合併症などを患い、また母も介護疲れで倒れてしまったのです」。そこで加藤さんは休暇をとり、父親の介護の手伝いを始めます。糖尿病の治療には食事制限が必要。毎回の食事ごとに気を配らなくてはならず、その大変さを知ったと言います。少しでも負担を減らすことができないかと、インターネットで病態食について調べているときに出会ったのが、健康管理食宅配サービスの「けんたくん」(本部・大阪)でした。「けんたくん」は、管理栄養士の指導のもとに作られた病態食、高齢者食の宅配を行っています。糖尿病や高血圧、心臓病など、病状に合わせたエネルギーコントロール食や減塩食などを用意。魚の骨を取り除いたり、防腐剤を使わなかったりと体にやさしい食事を提供しています。自ら経験した介護をする家族の負担のことや今後の高齢化社会を見据えて、加藤さんは会社を辞め、岐阜県下第1号となる「けんたくん」=可児市美里ヶ丘=を開きました。 |