|
庭造りに当たっては、1枚の絵として庭をとらえることから始めるという佐橋さん。もっとも心掛けていることが、土地本来の自然を生かし、自然との調和を第一に考えること。そんな佐橋さんの姿勢を実際の形にした庭の一つが、犬山市の旧奥村邸、フレンチ創作料理店「なり多」のエントランス・ガーデンです。エントランスという限られた空間の中で、家の持つ歴史的、文化的な背景と緑が織りなす美しい世界が実現されています。佐橋さんは「インテリアとしての緑」にも意欲的に取り組んでいて、庭という形にとらわれず、家の中に、生活の中に緑を取り入れる工夫を提案しています。「家は少しぐらい住みづらい方がいい」。人にとっての住み良さや快適さばかりを追求することは、自然環境にいい影響を与えないことに気づいてほしい、との思いから佐橋さんの口からは少し過激な発言が飛び出します。自然の重みや大切さをいつも身近に感じているからこそ、佐橋さんは人と緑の共生、自然との調和を考えた庭造りを実践し続けます。「人間は緑がないと生きていけない」という言葉を胸に。 |